東京科学大学・Medii・ヒューマンライフコード
ラウンドテーブル開催レポート
『難病(自己免疫性疾患)治療の現在地と社会実装に向けた課題解決』
世界に先駆けて臍帯由来の間葉系細胞を再生医療等製品として実用化を目指すヒューマンライフコード株式会社(代表取締役社長:原田 雅充、所在地:東京都中央区・以下、当社)は、2024年10月、東京科学大学(旧東京医科歯科大学)と株式会社Medii(本社:東京都新宿区、代表取締役医師:山田裕揮、読み:メディ)との共催で、難病治療研究、及び社会実装における課題とその解決法について提言させていただく、有識者によるラウンドテーブルを開催いたしました。
当社は、東京科学大学(旧東京医科歯科大学)と難治性自己免疫疾患に関する早期診断・早期治療の実装を目指したジョイントリサーチ講座「生涯免疫医療実装講座」を2024年7月1日に開設しています。今回のラウンドテーブルは、本講座開設の意義を報道関係者にお伝えするとともに、難病治療研究、および社会実装における課題とその解決について、それぞれの役割を果たす、①自己免疫疾患治療の研究を担うアカデミア 東京科学大学、②難病治療法の情報交換ができる医師ネットワークを構築する株式会社 Medii、③自己免疫性疾患の臍帯由来の新治療薬を開発するヒューマンライフコード株式会社の三者による意見交換を通して、日本の自己免疫性疾患治療における課題やそのために医療従事者、及び、関係する事業者が果たすべき役割について理解を深めていただくことを目的に開催しました。
■登壇者
森 雅亮/東京科学大学 新産業創生研究院 医療工学研究所 生涯免疫医療実装講座 教授
小児リウマチ・膠原病、小児感染症全般が専門分野。 平成7年~平成10年まで、米国シンシナティ大学免疫学教室に国外留学。 平成12年に医学博士取得。日本小児科学会、日本リウマチ学会、日本感染症学会、日本アレルギー学会、日本化学療法学会で専門医資格取得。
山田 裕輝/株式会社Medii 代表取締役医師
自身が不治の難病患者となり、免疫難病の専門医となるも、一人で診られる患者の数や専門領域の限界に直面。より多くの難病患者を救うため、難病診療を支える仕組みを作るため、株式会社Mediiを創業。現在では日本最大となる医師専用オンライン専門医相談サービスである「E-コンサル」を運営し、限られたエキスパート専門医の知見の最大化に取り組んでいる。
原田 雅充/ヒューマンライフコード株式会社 代表取締役社長
米国の外資系製薬企業に在籍中、細胞治療で元気になった小児患者との出会いをきっかけに、残りの職業人生の全てをかけてでも、この細胞治療を普及させたいという強い衝動にかられ起業を決意。2017年4月にヒューマンライフコード株式会社を創業。国産かつ備蓄可能な臍帯(へその緒)で持続発展可能な細胞治療のエコシステムの構築に取り組んでいる。
冒頭では東京科学大学の森先生より、難治性自己免疫疾患治療研究の現状と今後の発展性についてお話しいただきました。
東京科学大学 新産業創生研究院 医療工学研究所 生涯免疫医療実装講座 教授 森 雅亮氏
自己免疫疾患の治療研究を通して重要性が明確化している課題として、下記の4つについて解説。
①全国レベルで医療が受けられるための小児膠原病のネットワークづくり
②小児膠原病疾患の診断・治療の標準化
③薬剤の小児への適応拡大
④医療制度の問題、小児から移行期への支援についての取り組み
今後の展望として、「患者さんに負担のかからない治療法の改善や、病気になる前の未病段階での研究を行い、次世代の難治性疾患診断と治療の最適化に向け、産学連携で取り組んでいきたい。その一環として、ヒューマンライフコードとのジョイントリサーチ講座では、同社と構築しているバイオバンクと連携し、臍帯を活用した治療法の検討も進めていきます。」と示されました。
次に、“誰も取り残さない医療”を目指し、主治医がオンラインで専門医に症例相談ができるプラットフォーム「E-コンサル」を運営する株式会社Mediiの山田氏より、希少疾患・難病の早期診断・治療の最適化に向けた取り組みについてお話しいただきました。
株式会社Medii 代表取締役医師 山田 裕輝氏
「医療の急速な発展により、新たな診断・治療方針が目まぐるしくアップデートされ、医師一人があらゆる疾患の最新情報を把握することはますます困難になっています。特に、未知で複雑な病態が多い希少疾患・難病は約10,000種類にのぼるとされ、その疾患一つひとつが極めて稀であり、一人の医師が生涯に数人診るかどうか、中にはエキスパート専門医が全国に2〜3人しかいない疾患もあります。新薬も次々と発売される中で適切に処方できるほどの経験を積むことは容易ではありません。
E-コンサルを通じて、その領域のエキスパート専門医の最新知見にアクセスできるようになるになったことで、主治医の疑問が解決され、結果として早期に診断がつき、新薬を含めた治療選択肢の中からより納得のいく医療を受けられるようになります。」
新しい診断、治療アップデートがあっても、患者が皆リアルタイムに届くかというと難しい状況があり、今後もその課題は加速していく中で、難病や希少疾患における新しいインフラが必要となっていること、そしてそこにMediiのE-コンサルが存在する意義があることを解説しました。
最後に、ヒューマンライフコードの原田より、難病に対する細胞治療の理想的な原材料となりうる臍帯(へその緒)の利値について紹介しました。
ヒューマンライフコード株式会社 代表取締役社長 原田 雅充
「再生医療は二つに大別されます。再生医療等安全性確保法に基づいて実施されている、近年身近になっている美容施術などに代表される自由診療での医療行為と、製品に対する厳格な規制を持つ薬機法に基づいて研究開発を進め、最終的には保険収載を目指す細胞医療。ヒューマンライフコードの開発している細胞製品は後者です。」
現在の細胞医療のソースにはドナーの骨髄や脂肪が活用されています。これらはドナーへの痛みや侵襲性が高いという問題があります。ヒューマンライフコードは「誰かを救うために誰かを傷つけることになるソースの活用は産業として普及しない」、「臍帯はドナーへの侵襲性がないのに加え、胎児側の組織であることで細胞老化による不均一性が小さいこと、細胞増殖能力が高く製造時のスケールアップが図りやすい」といったことを根拠に、臍帯(へその緒)の活用に着目しました。
国産で賄える(日本における出産で採取できる)へその緒を原材料とし、製造・治験・流通というプロセスを経て、科学的に確かな基盤をもとに薬事承認を取得、難病治療をはじめとした医療に役立てていく。また、そうして得た収益を、健康的な出産環境の構築などに還元していくなどの循環型のエコシステム構築への展望も語りました。
「当社は世界初の造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症を対象とした第Ⅱ相試験に成功しており、この成功を皮切りに、自己免疫性疾患に対する未来医療の実現を目指して東京科学大学とのジョイントリサーチ講座を設置しました。本講座を通して、間葉系細胞の作用機序を解明し、病態進行に関わるバイオマーカーを開発することを目指します。このような先進技術の普及にはMedii社の『E-コンサル』の活用が有用となると期待しています。」
未来医療となりうる先制医療は、疾患の予防、疾患悪化のリスク低減が目的となりますが、臍帯由来間葉系細胞による細胞医療の出番があるなれば、薬剤治療と生活指導のコストを上回る細胞治療のコストをかけてでも、「自己免疫疾患の重症化に進むリスクを明らかに下げること」、「自己免疫疾患に対する治療を続けながら生活の質を向上させること」が期待できます。これらを証明する上で、病気が進行し重症化する前に上述したバイオマーカーを活用した早期診断のもと、臍帯由来間葉系細胞での治療効果が最大限発揮させられる治療介入時期の検討が必要と考えています。
80種以上存在すると言われる自己免疫性疾患は、いまだ解明されていない治療法が多々あります。産学連携、そして医療従事者同士の連携、情報産業・製薬業といった事業者同士の積極的で柔軟な連携が、よりスピーディで多くの方に希望を与えられる難病治療の鍵であると、心新たにする機会となりました。
■メディア関係者の皆様へ
メディアの方におかれては、ぜひ、日本の難病治療・先端医療に関する私どもの情報発信にご注目いただき、国民の方への情報発信者としてぜひ、この連携にご参画いただけますよう心よりお願い申し上げます。
【プレス資料PDF】
ラウンドテーブル開催レポート「難病治療の現在地と社会実装に向けた課題解決」
【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】
ヒューマンライフコード広報担当:林
E-mail: info@humanlifecord.com / TEL: 080-4671-0405