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名古屋大学との共同研究成果を学会で発表
~臍帯由来間葉系細胞を用いたサルコペニア治療の可能性~

 国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学(総長:松尾清一、所在地:愛知県名古屋市、以下「名古屋大学」)およびヒューマンライフコード株式会社(代表取締役社長:原田 雅充、所在地:東京都中央区、以下「当社」)は、2021年11月6日(土)に千里ライフサイエンスセンターで開催された、第8回日本サルコペニア・フレイル学会大会にて、「名古屋大学大学院医学系研究科・ヒューマンライフコード応用細胞医療学講座」での研究成果に基づき、スポンサードシンポジウム3「フレイル・サルコペニアにおける新規予防・治療の可能性」のセッションで、「ヒト臍帯由来間葉系細胞を用いたサルコペニア治療の可能性」と題した口頭発表を行いました。
 
【演題・発表者】
演題: ヒト臍帯由来間葉系細胞を用いたサルコペニア治療の可能性
発表者:黄 哲1),朴 麗梅1),原田 雅充2),葛谷 雅文3),成 憲武1)
1)名古屋大学大学院医学系研究科 ヒューマンライフコード応用細胞医療学講座
2)ヒューマンライフコード株式会社
3) 名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学分野
 
【発表内容】
 サルコペニアは加齢に伴う筋萎縮ならびに筋力低下または身体機能の低下を伴う病態と定義され、筋線維数及び筋線維サイズの減少、筋収縮スピードの遅延化といった運動機能の低下を特徴とする疾患です。これまで、サルコペニアの治療法としては運動と栄養療法が中心であり、薬剤を使用した治療に関してはほとんど開発が行われていないのが現状です。そこで、本研究では、サルコペニアのモデル動物の一つである老化促進マウス(Senescence-Accelerated Mouse prone 10: SAMP10、以下「SAMP10」)を用いて、当社が開発するヒト臍帯由来間葉系細胞のサルコペニアに対する治療効果を検討しました。
臍帯由来間葉系細胞投与による運動機能の改善効果を評価するために、SAMP10に臍帯由来間葉系細胞を投与し、4週間おきに握力ならびに持久力の測定を行いました。その結果、非投与群と比較し臍帯由来間葉系細胞投与群において有意に握力・持久力が向上しており、運動機能の改善が認められました。また、運動機能の改善に寄与するメカニズムを明らかにするために骨格筋を採取し解析を行った結果、臍帯由来間葉系細胞投与群において骨格筋重量の増加、炎症の抑制、筋修復・増殖促進、細胞死の減少、ミトコンドリアの機能改善が認められました(図1参照)。
以上の結果より、SAMP10において、臍帯由来間葉系細胞の投与により、加齢に伴う骨格筋の萎縮および骨格筋機能の低下が改善されることが明らかとなりました。引き続き、臍帯由来間葉系細胞を使用したサルコペニア治療メカニズムのより詳細な解析を行うことで、未だ有効な治療薬のないサルコペニアに対して、臍帯由来間葉系細胞を使用した新規治療法の開発を目指します(図2参照)。
 

図1:臍帯由来間葉系細胞投与によるサルコペニア治療メカニズム
 

図2:臍帯由来間葉系細胞を使用した新規治療による健康長寿社会の実現
出典:厚生労働省「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」(平成30年3月)をもとに当社改変
 
【名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学分野・葛谷雅文教授からのコメント】
健康寿命の延伸を目指すうえでもサルコペニアの治療は大変重要な課題である。しかしながらそれらの介入方法は限られており、今回、マウスの系ではあるが臍帯由来間葉系細胞の加齢性サルコペニアへの効果が確かめられたことは今後の臨床応用にも大変期待が持て、医療・社会的意義が大きい。

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