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企業理念研究開発物語

「一本のへその緒がつなぐ命のきずな」

東京大学医科学研究所附属病院 長村登紀子先生 × ヒューマンライフコード 原田雅充

ヒューマンライフコードの基盤技術の生みの親であり、シニアアドバイザーでもある東京大学医科学研究所附属病院(以下、医科研)臍帯血・臍帯バンク/体性幹細胞研究分野 准教授 長村登紀子先生。
メディカルサイエンティストとしてのキャリアにおける臍帯(へその緒)との出会いから、臍帯由来間葉系細胞のポテンシャル。さらには、同細胞製品の実用化に向けた事業を手がける私たちへの期待など、代表の原田がお話を伺いました。

原田:長村先生は、臍帯由来間葉系細胞の研究をこれまで精力的に続けてこられていますが、この研究を始められたきっかけを教えてください。長村:私は、もともと血液内科医を目指して医師になりました。山口大学の血液内科から血液学の真髄である医科研に移り、そこからは造血幹細胞移植に主軸を置いていました。1998年にアメリカのNIH(米国国立衛生研究所)に留学しました。2年後の2000年に帰国した時には、既に臍帯血移植が実用化されつつあり、私が戻った医科研の細胞プロセッシング寄付研究部門では、胎盤由来間葉系細胞の研究を行う中で臍帯由来間葉系細胞も少し扱っていたのです。それが、臍帯(へその緒)との最初の出会いでした。その後、学会で骨髄由来間葉系細胞が移植片対宿主病(GVHD)に効くという発表を目にし、本格的に臍帯由来間葉系細胞の研究を始めました。

原田:免疫と臍帯由来間葉系細胞との親和性を感じ、臍帯由来間葉系細胞研究の舵取りが始まったというわけですね。胎盤や臍帯血などの周産期産物の中で、臍帯(へその緒)に着目したのはなぜですか?
長村:「胎盤の方が、絶対にいい」という先生方も多くいらっしゃいますが、臍帯(へその緒)の方が、扱いやすいこと。さらには、どこをとっても胎児側の細胞であるため、安定的に細胞が採れることが、大きな魅力です。周産期産物以外にも骨髄や脂肪がありますが、骨髄も脂肪もドナーさんに侵襲性があることを考えると、やはり臍帯(へその緒)が良いのではと確信し、本格的に臍帯(へその緒)を用いた研究を始めてからは、何一つ迷いなく研究を続けてきました。

原田:扱いやすい、という観点は、産業面からみても重要な視点ですね。今、世界的に見ても、ソースとして臍帯(へその緒)が使われている研究が増えてきたという印象があり、論文も急増しています。先生が研究を続けてこられたことが世の中の流れに沿うかたちで今につながり、それをさらに社会実装をするところに、ヒューマンライフコードの役割があると思っています。
私たちも医科研との共同研究のもと、現在治験を進めておりますが、臍帯由来間葉系細胞は治療対象として、どのような疾患が想定されているのでしょう?
長村:間葉系細胞には分化能、組織修復機能、免疫調整機能という3つの特徴があります。分化能自体は、ダメージを受けた組織に対して、正常な組織を作ることをサポートする機能。そして、組織がダメージを受けたり、炎症が強くなってきたりすると、細胞が遊走して組織を修復し、免疫を調整する機能を有しています。そのような機能の発揮が期待できる対象の疾患としては、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)、肺炎や新型コロナウイルス感染症に伴う肺疾患、脳性麻痺、その他リウマチ、膠原病などがあります。海外でも様々な疾患に応用されようとしています。
今は細胞製品としての実用化実現への取り組みがメインではありますが、今後は3D(立体的)細胞培養技術や、スキャホールド(細胞の足場材)を使った再生医療への応用、エクソソームなどの細胞分泌物を活用した医療への展開。また、遺伝子導入により、特定の機能を強化した細胞の作製など、この臍帯由来間葉系細胞は、際限のない無限の可能性を秘めたソースだと思っています。

原田:そうですね。臍帯由来間葉系細胞を患者さんに届けるため、これからも医科研と連携してその実用化に取り組んでいきたいところです。それでは、これからのヒューマンライフコードに期待することを教えてください。 長村:原田社長の想いと熱意を非常に強く感じ、サポートいただいていることに対し、大変心強く、ありがたく思っています。
ヒューマンライフコードの社名にも入っていますが、IMSUT CORD(東京大学医科学研究所附属病院臍帯血・臍帯バンクの英名)のCORD、一本のへその緒(umbilical cord)がつなぐこのCORDには、いろいろな意味が含まれていますよね。
基礎研究から臨床応用までの、大きな流れの中のCORD。
赤ちゃんから採ったへその緒を患者さんにつなぐ、一本のCORD。
お母さんと赤ちゃんをつなぐ絆であるCORD。それがずっと続いてほしいと願っていますし、ヒューマンライフコードには、ぜひこの想いを患者さんの生命につないでいっていただきたいですね。

原田:私たちヒューマンライフコードとしては、お母さんと赤ちゃんとの最も強い絆である臍帯(へその緒)を、困っている患者さんにつないでいく。そうすることで命を紡いでいき、結果的に人にも環境にも優しい医療へとつながる。そして、お互いが命を支え合うような、心あたたまる社会を臍帯(へその緒)によって築いていきたい。そんな想いを持って、先生からいただいたCORDをしっかりと患者さんの希望へつないでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

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